大 使 館 情 報 (ポルトアレグレ領事事務所より送付)

 
大 使 館 情 報 (ポルトアレグレ領事事務所より送付)
 
大 使 館 情 報
 
201
 
【目次】
 
  ブラジルマクロ経済情勢
・最近の経済情勢
 
  トピックス
・ウルグアイ東方共和国における地上デジタルテレビ放送日本方式採用の決定
アマゾンで活躍する日本のNGO
・大統領就任式
日伯社会保障協定実施のための行政取決め署名式
 
  大使館からのお知らせ(文化・広報、領事、警備情報)
大学間交流だより(フルミネンセ連邦大学(UFF
イベントのお知らせ
在留届について
・外務省海外安全情報ホームページ掲載内容の紹介
広域情報(外務省海外安全ホームページ)について
 
※大使館情報の最近のバックナンバーを大使館ホームページに掲載いたしましたのでそちらも御覧ください。在ブラジル日本大使館 www.br.emb-japan.go.jp
 
 
 
 
 
  ブラジルマクロ経済情勢
 
【最近の経済情勢】
 ブラジル財務省は2011年~2014年(ルセーフ政権中)の平均GDP成長率を5.9%、2011年:5.0%、2012年:5.5%、20132014年:6.5%と予測した。ルーラ政権下のGDP成長率は4.0%、カルドーゾ政権下の同成長率は2.6%であり、もし、予測通りとなれば、ブラジルは引き続き堅実な経済成長を続けていくこととなる。
 ブラジルの好調な経済及び世界的に高い金利は、米国等の不況・金融緩和等も相まって、外国から資金をブラジルに呼び込む結果となり、レアル高を招いている。2011年に入り、1ドル:1.6レアル台で推移しており、ブラジル当局は、今年に入り強制預託金の実施、20095月以来の先物市場への為替介入、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)による為替介入の可能化等を実施している。
 レアル高は貿易収支にも影響を及ぼしており、2011年の貿易実績は、輸出:約2019億ドル(前年比:約32%)、輸入:1816億ドル(前年比:約42%)と輸出入とも大幅な伸びを記録したものの、貿易収支は203億ドル(前年比:△約20%)と前年より2割も減少した。最近の貿易実績の傾向(下記グラフ参照)は輸出入とも着実に増加しつつ、貿易収支黒字も減少傾向にある。今後も貿易収支の黒字幅は減少するものと見られており、市場による2011年の貿易収支は約95億ドルと予測している(2012年:50億ドル)。
  
 2010年の経常収支の赤字は、貿易黒字の減少、企業の海外送金やブラジル人の海外旅行等により△475億ドルであった(中銀の予測では、2011年の経常収支赤字は690億ドル)。一方、海外からの直接投資は、昨年12月の実績だけで約154億ドル(うち、71億ドルは中国のSinopecによるRepsol Brasilへの投資)となり、2010年の実績は485億ドルと中銀の予測380億ドルを大幅に上回った。
2010年のIPCA(拡大消費者物価指数)は5.91%となり、インフレ目標値(4.5±2%)内には入ったものの、食品価格の上等により高率となった。1月の通貨政策委員会にて、基本金利(Selic)が0.5%引き上げられ昇、11.25%となった。市場は2011年の基本金利を12.50%と予測している。  
 
  トピックス
 
【ウルグアイ東方共和国における地上デジタルテレビ放送日本方式採用の決定
~欧州方式採用の決定を覆し、技術的に優れた日本方式採用を決定~】
 
昨年12月27日、ウルグアイ東方共和国は、同国における地上デジタルテレビ放送方式の規格として日本方式(ISDB-T方式)の採用を決定した。
海外での日本方式の採用は、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドル、コスタリカ、パラグアイ、フィリピン、ボリビアに続いて11カ国目になる。
 
1 ウルグアイ政府による日本方式の採用
ウルグアイは、バスケス前政権において2007年8月に欧州方式の採用を決定・公表していたが、南米諸国で日本方式採用が相次いだことを受け、2010年3月のムヒカ大統領の就任後、同国が採用する地上デジタル放送方式について再検討が行われていた。
これまで、我が国政府は、総務省等の関係省庁、放送事業者、メーカー、研究機関等と連携しつつ、ウルグアイ政府関係者等に対し、日本方式の採用に向けた働きかけを継続して行ってきた。
この結果、ウルグアイ政府は、2010年12月27日、2007年8月の欧州方式の採用決定を取り消し、同国の地上デジタルテレビ放送方式として日本方式の採用を決定することを発表した。
 
2 今後の取組
我が国政府は、総務省等の関係省庁及び関係機関とも連携のうえ、ウルグアイにおける日本方式の円滑な導入に向けて、技術協力、人材育成等の支援を実施していく予定。
今後とも、日本方式を採用した国々と連携しつつ日本方式の更なる海外普及に努めていく。

アマゾンで活躍する日本のNGO
             
アマゾナス州マニコレ市は州都のマナウスから南に約390km,アマゾンのマデイラ河沿岸に位置する面積48,500km2,人口4~5万人の町で,産業は農業でスイカ,バナナ,アサイ等の果物が生産されている。同市人口密度は0.8人/km2で,人口は市街地と,広大なマデイラ河畔・支流河畔に散在する大小225の集落に分散している。従来,これら集落の住民はほぼ隔離された生活を送っており,電気や水道などのインフラが整備されておらず,医療機関の整備も立ち後れているために,多くの場合病気や怪我は植物由来の薬など民間療法により治療されているが,毒蛇や毒虫に刺された時や,マラリア,デング等の伝染病,食中毒などの場合,手の施しようもなく死亡する例が後を絶たなかった。また,出産時に母子共に死亡する事例もしばしば生じていた。
この事態を受け,日本のNGO団体であるHANDSは,2001年から “アマゾンの森林と共に健康に生きる計画”を立ち上げた。現地には日本人スタッフが常駐し,コミュニティと連携を採りながらヘルスワーカーの能力向上や,医療設備との連携の整備等を行い,マニコレの生活環境向上に尽力してきた。医療施設との連携強化に関しては,2006から2007年にかけての外務省の「日本NGO支援無償資金協力」の枠組みで無線通信,緊急輸送システム無線機とモーターボートが導入され,これによって他のコミュニティとの横の連絡,健康上の安全が確保され,現在 無線機は29箇所の集落に設置され,ボートは3箇所の主な集落,特に診療所の有る所に待機している。ある集落の住民は,「子供が森林で倒れて来た大木の下敷きになり,頭に大怪我を負ったが,無線機とボートの連携によりマニコレの病院に緊急輸送され一命を取り留めた。元気になって帰って来た我が子の姿に,心より神に感謝した。もし今プロジェクトによる機材が無ければ子供はもうこの世に居なかったろう」,と泣きながら語った。
現地では同団体の貢献は広く知れ渡っており,この結果はメンバーの献身的な努力と,忍耐,そしてその企画力により長い時間を掛けて培われた賜物であり,ブラジルの中でも都市部から隔離された地域住民の生活環境の向上を目指す,地道な努力は日本の人々の善意の集結とも言える事業である。
 
【大統領就任式】
 
1.1月1日,ルセーフ大統領の就任式が行われ,ブラジル初の女性大統領が誕生した。議会での就任式にて,憲法への宣誓の後,約40分間に亘り就任演説を行い,その後大統領官邸にてルーラ前大統領からの肩章引渡し式,バルコニーからの「国民へのスピーチ」,そして閣僚任命式が行われた。演説においては,2期8年にわたり安定成長を実現したルーラ前大統領の政策を継承し,極貧層の一掃に断固として取り組み,起業家精神にあふれた中間層の国を目指すと述べた他,ルーラ前政権に対する賞賛,教育,保健,治安分野を優先課題とする政策等につき演説した。
40分の演説中,ルセーフ大統領が,独裁政権に対し共に闘い,志半ばにして犠牲になった友人達に敬意を表する旨述べた際に,思わず涙を見せるなど,これまで国民に印象付けていた冷静な性格とは対照的な姿をみせる場面もあった。雨天であったにもかかわらずブラジリアの三権広場に集まった3万人もの国民は,ルセーフ大統領の就任のみならず,87%もの歴史的高支持率を誇るルーラ前大統領の退場を多くの歓声とともに祝った。
日本からは,特派大使である麻生太郎元総理大臣,河村建夫議員,中井洽議員,黄川田徹議員で構成されるブラジル訪問議員団が訪伯し,麻生特派大使は,ガルシア・ペルー大統領,サントス・コロンビア大統領,チャベス・ベネズエラ大統領,ピニェラ・チリ大統領等の南米各国大統領,ヒラリー・クリントン米国国務長官をはじめとする各国閣僚等,約130カ国からの代表とともに就任式に参列した。
 
2.麻生特派大使・ルセーフ大統領,新旧外相会談
麻生特派大使は,1月2日,ルセーフ大統領と会談し,同大統領の就任に祝意を表するとともに,地上デジタル放送普及やモザンビークにおける農業分野での協力のような両国の新しい形の協力関係について意見交換をした。ルセーフ大統領は,2008年に訪日した際の想い出に触れ,文官長時代に麻生特派大使に要請した社会保障協定が昨年署名されたことについて,麻生特派大使の尽力への謝意表明があった。
また,12月31日,30分間に亘り,麻生特派大使はアモリン外相及びパトリオッタ新外相と会談し,二国間及び国連安保理改革での協力に見られる国際場裡での両国の良好な関係につき意見交換を行った。
 
日伯社会保障協定実施のための行政取決め署名式
 
1.昨年12月27日,昨年7月に署名された日伯社会保障協定の行政取決めの署名が,藤村修厚生労働副大臣とガバス前社会保障大臣との間で行われた。右行政取決めは,現在両国の議会承認を待っている日伯社会保障協定の運用に関する規則を定めるもの。署名式において,ガバス前社会保障大臣及び藤村厚生労働副大臣は,右協定の早期発効を望むとともに,両国国民に裨益する右協定の広報に努め,今後の運用状況についても両国が共同して見守っていくことを確認した。
 
2.現在,日・ブラジル両国の企業等からそれぞれ相手国に一時的に派遣される被用者(企業駐在員など)やそれぞれ相手国で一時的に就労する自営業者は,日・ブラジル両国の年金制度への加入が義務づけられるため,社会保険料の二重払いの問題が生じている。また,相手国の年金制度の加入期間が短いために,年金の受給に必要な期間を満たさず,年金を受給できないとの問題も生じている。日・ブラジル社会保障協定は,これらの問題を解決することを目的としており,この協定が効力を生ずれば,派遣期間が5年以内の一時派遣被用者等は,原則として,派遣元の年金制度にのみ加入することとなる。また,両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立できることとなる。
 今後,本協定の発効を経て,ブラジルで活動する企業及び駐在員等,さらに在日ブラジル人の負担が軽減されることで,日・ブラジル両国間の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待される。